exhibition

exhibition vol.5
2023.2.18(sat)-2.26(sun)

タイトルに使用している記号は二酸化炭素の分子軌道ダイアグラムです。
薬学の知識を持つ大山の作品 は、実験的な要素が多く含まれます。
今回展示する《ADIPOSE TISSUE BLOT》は生物から抽出した脂 肪の塊を紙に写し取った作品です。
左右対称の染み(インクブロット)によって描かれる図像は、偶発的 でありながらなにかを示唆しているようでもあります。
国内でも発表の少ない大山龍の沖縄初個展です。(展覧会DMより)

 

Adipose tissue blot 2023

タイトルはoyamaが二酸化炭素の分子軌道ダイアグラムを記号化した。
MO法(Molecular orbital theory) 分子軌道法
なぜ化学で使われる分子軌道に着目したかは、元々薬学を専攻、原子をなぜ円や球体、軌道で表すかに疑問をもったことから始まる。
原子、分子、電子や素粒子は測定値でしかなく、球体や軌道を表すわけではない。
人は概念的に円や球体が想像するのに都合がいいからでないかと考えた。
始まりと終わり、円、縁は人にあまりにもあたりまえに疑いもなく想像できうる、なぜ?。
分子軌道ダイアグラムは、分子の結合、電子の”状態”を表している。

 

Adipose tissue blotはドイツでの制作の継続。
生体そのものによるドローイング。
精神と肉体を切り離されたが、精神の哲学から肉体の哲学へ。(“The Philosophy of The Flesh” by Johnson and Lakoff)
脂肪は状態によりでワックス化に進むことから腐敗させずに保存し、その脂肪(油を基剤とし)を使ってドローイング、脂肪の塊が魚拓のようにプリントされる。
植物が脳を除いてヒトや動物と同じならば、身体で音を聞いたり、思考することができるとするならば、ただの物質であるという認識から逸脱できるかもしれない。
燃料である石炭も石油も脂肪からできた蝋燭も煙(主として二酸化炭素)になる。

保存していた脂肪のかたまりをさらに鹸化とエステル化を通して、蝋燭に変えた屍蝋燭と保存された脂肪も同様に展示。
日本各地を周り遺跡、地層、化石、土などをリサーチしている一環で福岡、長崎の炭坑跡、ぼた山からの石炭、新潟の油田跡地周辺の石油の混ざった石や砂、水を展示。

 

作家略歴
OYAMA Ryu
昭和薬科大学薬学部、金沢芸術工芸大学卒業後、カールスルーエ美術大学(ドイツ)で学び、ドイツを拠 点に活動。2017 年から拠点を沖縄に移す。2020 年台北で展開したバイオ・デジタルアートのワークステ ーション「Forking PiraGene」に参加。

 

企画:町田恵美
デザイン:山城絵里砂